同じ曲でもリズムを変えると全く違う曲
同じ原曲からコード進行を変えることにより曲調がごろっと変わるという経験をしたことがあるが、同様にリズムを変えることで全く違う曲に変わるというものも世の中には多くある。その一つで言われて初めてそう言えばそうやなと感じたのはザ・ピーナッツの歌う「情熱の花」である。ザ・ピーナッツの歌う素晴らしいハーモニーとアップテンポのこの曲は大変ヒットしたが、原曲は何とあの天才ベートーベン先生の名曲「エリーゼのために」であった。1810年に39才のベートーベンが20才も年下のエリーゼ(ベートーベンは字があまり上手でなく、テレーゼと書いた字をエリーゼと読まれたという説もある)に求婚するために作曲したということのようだ。ザ・ピーナッツの歌の愛する人への情熱はある意味ベートーベンの愛情表現と相容れる所があるような気がする。しかしぱっと聞いた時には「情熱の花」は「エリーゼのために」とは気がつかないのは何故かがじっくりと曲を聞いて比較してみるとわかった。情熱の花はロックビートで歌える、すなわち4拍子の曲である。ところが「エリーゼの為に」をよく聞くと3拍子であることがわかる。そしてこんな名曲を3拍子から4拍子にリズムを変えるという技をよく日本人がやれたなあと思ったが、実はこの曲はアメリカのグループザ・フラタニー・ブラザーズ1957年がこの編曲及び発売を行いイタリアでヒットしたものをヨーロッパ歌手がフランス語やドイツ語で歌ったものをその後ザ・ピーナッツが日本語に訳して歌ったもののようである。またその後同名の「情熱の花」という歌謡映画が1960年に出されザ・ピーナッツも出演している。

ザ・ピーナッツの情熱の花は実は「エリーゼのために」だった