自分を守るヘルメット

 私はサラリーマン時代の大半を製造現場で過ごしたので、作業着と安全保護具については結構色々な思い出がある。一般に言われる安全靴は大変重い。この理由は万一現場で何か重量物が足に落ちてきたり、フォークリフトなどのタイヤにひかれても、安全靴は指先を守るように鉄が入っているからだ。これは日本だけかと思っていたが、後年オランダで履いた安全靴も「鉄下駄」かと思うほど重いものだった。日本人は皆この靴を嫌がったが、私は安全の立場から案外納得して履いていた。また保護具は災害が起こるたびに重装備化していく。上から何か落ちてきて怪我すると安全帽からヘルメットになり、首筋を怪我すると首を守るガードが作られ、足に何かがささると防弾チョッキのような分厚い安全エプロンが採用され、足に何かが入って足裏を怪我すると脚絆を巻けという指示が出る始末だ。こうした安全保護具の中でも私がこれだけは大事と思っていたのがヘルメットだった。狭く高さのない現場を這うように仕事をしている時、ふと体を起こした際に頭を強打することがよくあった。この時もしヘルメットをかぶっていなければ大災害になったことだろう。また現場はモンキースパナやハンマーなどあらゆる工具が上から落ちてくる危険があった。こうした危険から身を守る上でヘルメットは必需品だった。欠点は頭が蒸れることだが、多くの日本人は頭とヘルメットの間にタオルを入れていた。欧米の現場ではホワイトカラーは現場で直接手を出さないということからヘルメット着用は規定されていなかったが、私はトップであったがヘルメットを着用して現場を回り「安全第一」をアピールした。

ヘルメットは自分を保護するとともに安全の象徴だった

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