「失われた30年」後の日本と米国の年収差
1980年代日本は世界の経済を牽引しており最も輝いていた。電化製品を筆頭に日本製品にJapan as No.1という評価が送られたのもこの頃だった。こうした事から欧米の会社が日本のやり方を見習おうとして「日本詣で」をしてきた。私の働いている会社でも欧米の会社が技術的な交流を通じてやってきた。1社の欧米人の受け入れだけでも50名を越えるような時期もあった。私は会社に入って5年ぐらいだったが、多少英語がしゃべれるということでこうした外国人の受け入れ担当として抜擢されることがあった。そして受け入れを行う中で欧米人と色々な話をしたが、サラリーマンの究極の話題といえばやはり給与に関する話だった。ホワイトカラーのメンバーはあまり年収の話をしなかったが、ブルーカラーのメンバーはよく私に年収の事を聞いてきた。当時日本のサラリーマンの平均年収は300~500万円ぐらいで、ドルに直せば3~5万ドルだった。一方交替勤務でリーダークラスを担当する者の年収は2~3万ドルとの事で、私のように会社に入って5年目ぐらいの日本人の方がリーダークラスの欧米人の年収より多いことに驚いた。そして日本は世界的に給料が高いんだという事を自覚することになった。それからバブル期を経て日本は「失われた30年」を経験した。2010年代に行った欧米のホワイトカラーの年収は超1000万円レベルに上がっていたし、ブルカラーでも500万円近い年収をもらっていた。そして一方日本では30年間給与が上がらず、非正規労働者が増えた結果平均年収は300~500万円のままであり、「年収200万円で暮らす方法」といった本が流行るはめになっていた。

失われた30年の間に海外と日本の年収差は大きく広がった