好きなスローバラード1「Round Midnight」

 ジャズのコンサートでは乗りの良いミディアムテンポで始まる場合が多い。そして途中雰囲気を変えるためにスローバラードが演奏される。昔はキャバレーでチークダンスタイム向けに演奏されたようだが、別に女性と踊らずともスローバラードを聞いていると何か心が幸せで一杯になってしまう。したがってバンドでは特にこのスローバラードについては特別な思いで演奏することが多いようだ。通常スローバラードは恋の歌が多く、美しいメロディーに乗せたコード進行を聞くのは気持ち良い。そのスローバラードの代表曲の中で「ラウンド・ミッドナイト」という曲がある。この曲は綺麗なコード進行で作られるスローバラードの中では少し異質な曲で、とんでもないコード進行なのに何故か結果として?美しいメロディーとなっている曲だ。それもそのはずで、この曲の作曲者がセロシアス・モンクという人だからだ。セロニアス・モンクはジャズピアニストであるが、いわゆる正統派のピアニストではなく、言ってみれば「無茶苦茶に」鍵盤を叩いているかのようなピアノを弾く。実際この人が活躍していた1950年代とか1960年代でさえ、この人のピアノが本当にうまいのか、あるいは無茶苦茶に弾いているだけの人なのかという専門の批評家の話もあったようだ。とは言え、モンクは難解なコード進行を巧みに使い、結果として他に類を見ないような美しいメロディーをつくり上げている。しかしセロニアス・モンクのこの曲は作曲当時は流行らず、後にアレンジをしたマイルス・デイビスが自分の楽団でこの曲をクールジャズに仕上げたことで有名になった。

不思議なコードでモンクが作曲した繊細なバラードRound Midnight

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