好きなスローバラード2「Everything happens to me」

 この曲は私が町内のバンドで一緒に演奏をしたSさんより教えてもらった曲でSさんの十八番の曲でもあった。その後色々なプロの演奏でも聞いたが、あのチャーリー・パーカーがとてつもなく美しい音色で演奏しているし、チェット・ベイカーが歌とトランペットで演奏しているのも素晴らしい。ジャズではお馴染みのいわゆるツー・ファイブというコード進行が並ぶ曲で、サビの部分で転調しまた元に戻るという演奏的には座りの良い曲だ。Sさんから配られた譜面(おそらく黒本というプロミュージシャンが共有する本からコピーされているのでは?)を見ると途中に通常のコード進行を使わず、代理コードが使われている部分もあった。私はこのバンドではベースを担当していたが、この代理コードのルート音で合わせると何とも言えないハーモニーができ、ジャズという音楽の許容範囲の広さに驚きの連続だったのを思い出す。この曲の題名だが、happen toというのは「たまたまXXXする」とか「たまたまXXに出会う」というような意味だ。実際の歌版の歌詞を要約してみると、「デートの予定を立てても絶対に雨になる、アパートでパーティーをしようとしたらすぐに上からうるさいと怒鳴られる、いざ何かをしようとしたら電車に遅れたり風邪をひく、いつも何か起こるのよ。最初あなたと会った時はあなたがこのジンクスを破ってくれるかと思ったわ。電報も打ったし、手紙も書いたけど、あなたからの返事はさよなら、結局私の人生はいつも何かが起こってだめになってしまうの。私が恋に落ちたのはあなたとの一度だけ。でもやはり何か起こってしまうのよ」という失恋の歌のようです。

Sさんのサックスはパーカーの吹く音色のように優しかった

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