トップの仕事は結構辛かった

 仕事はつらく厳しいと感じたことはあるが、会社の前半で感じた苦痛の何倍もの苦痛を50代前半から60代前半の「組織のトップの時代」に経験した。若い頃はまず徒弟制度のようなもので、先輩のやる通りの事をやれと言われる。これは慣れが必要な仕事である。最初慣れない姿勢や言葉使いや態度をするので、体が悲鳴を上げるたり間違いを犯して不安になるが、そのうちに慣れてスムーズにやれるようになる。時間が問題を解決し数年すると何の問題もなかったかのように堂々とやれるようになる。つまりこの種の仕事は器用か不器用かの差で多少慣れる期間が異なるが、最終的には「必ず誰でもできる」仕事を経験していることになる。ところが50代後半になってトップの立場を拝命すると、これは教科書やお手本もないし出会う問題もその度毎に初めてものばかりである。毎回毎回起こる問題はほぼ解決できない?と思えるようなものばかりで、誰かに相談するにも「責任を持った回答ができるのはあんただけや」と言われるような難しい問題で容易に人に回答を委ねることもできなかった。自分より上の上司と言えば、上級取締役とか社長会長といったボードメンバーだけである。相談などしようものなら、「おまえはどう思う?」とまず自分の回答を求められる。したがってどうしても解決方法がまとまらなくても、いくつかの私案というものを用意しておく必要があった。こうした答えがあるようなないようなものをいつも考えているという時期だった。今アルバイトの仕事で悩むこともあるが所詮時間が解決し、慣れが筋肉痛をなくしてくれる「誰でもできる仕事」だ。

トップの仕事は新入社員時代の100倍?つらかった

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