病気のEさんに連絡を取った
日本へ帰ってからしばらくして欧州時代に欧州現地トップとして私を支えてくれたEさんが全体の執行役員になったことを聞いた。彼は私が欧州に駐在した時から、日本人という得体の知れない考え方の違う人種を何とか理解しようとがんばっていた数少ないメンバーだった。彼にとって唯一弱みを見せられるのは彼の唯一の上司にあたる私だけだった。彼は事ある毎に日本本社の決定に対して質問を私にぶつけてきた。私も通訳をするように日本の考え方をかみ砕いてEさんに説明した。しかし種々の面で何故別の考え方で考えられないかをさらにEさんは突っ込んできた。そうした質問までくると、私も日本人のメンタリティーまでさかのぼって説明する必要が出てきた。例えば日本人は面と向かっての争いごとを好まない傾向にある。したがってその場では結論を出さずにぼやかしたままにしておくという場合が多い。しかし欧米人は会議では白黒をはっきりさせ、次にどう行くかを明確に共有したいと考える。ここで欧米人は日本人のジャッジが我慢できない素振りをする。そんな人種的な考え方までお互いに話し合うことができるEさんは日本本体の執行役員としても十分やっていけると思っていた。ところがたまたま会社を離れた後で、昔のメンバーと会食していた時に、欧州のEさんが大病をしたと聞いた。それでも執行役員の激務を続けているのを知り、陣中見舞いを出した。Eメールを出すとすぐさま彼から返事が来た。どうやら最悪の状況からは脱して何とか普通に仕事はしているようだ。決して楽な状況ではないと思うが、何とか大過なく仕事をこなして欲しいと願うばかりだ。

欧米人で初めて執行役員になったEさん