久しぶりにT社名古屋事業場を見た

 あるジャズ・バーでおしゃれなバンドの演奏があるということで名古屋の栄に出かけた。夜遅くまで演奏を聴きその日は名古屋の繁華街で泊り、翌日は名古屋周辺を散策することにした。特に当てもなかったが、地図を見ているうちに南区の名古屋港近くに行きたいと思った。そこには私が新入社員だった時代に関わった大手企業があった。私は当時ある産業用基幹素材を生産していたが、日本で最大消費をするT社の工場が名古屋の南区にあった。30年前大変な苦労の末その会社に1トンの出荷をすることができたが、出荷を始めた当初は我々の製品は品質のばらつきが大きく、出荷毎に何らかの問題を起こしていた。夜がけ朝がけで先方の鬼のような電話が私の所にかかってきては、私は現地へ行ってお詫びを行うと共に原因追及のために追われる毎日が続いていた。「こんなにがんばっているのにどうして良くならないのか?」と自問自答する毎日だった。そういう中さらに大きい問題が発生した。我々の素材を原料に使用した先方の製品の中に大量の金属異物が混入しそれが最終ユーザーである自動車メーカーで発見されたという。さんざん調べたが原因がわからず、「弊社としては原因がわからない」という報告書を出すことになった。しかしそれから数10分後に現地で原因が見つかった。原因は我々が預かり知らない「製品を乗せ換えた金属ラック」に付着した金属屑が原因だった。それを見て私はその場でT社の現場の社員の方に土下座して謝った。そしてT社の守衛所で電話を借りて、会社に半泣きで原因発見の報告を行った。久しぶりに見た工場には昔のままの守衛所があった。

30年ぶりにT社の工場を訪れた

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