自分の人事はわからない
2011年から55才を越えてマレーシアで海外駐在員として仕事をすることになった。元々40代前半に駐在員として海外で仕事をせよという話がキャンセルになり、会社人生の最後で急遽駐在員として「最後の一花」を咲かせる気持ちでこの人事を受けた。そして2013年末には社長より「マレーシアに骨を埋めてくれ」と言われ、いよいよマレーシアが最後の仕事だという気持ちになっていた。一方私の担当していた仕事は「グローバルビジネス」であり、数量とシェアーを上げていく必要があった。そして当時流行りであったM&Aについても色々検討が行われた。最終的には当時マレーシアから欧米へ輸出していたビジネスはいかにも違和感があり、やはり欧米での現地生産を本格的にやるべきとの意見が挙がり、会社は米国資本で欧米に拠点を持つ企業のM&Aを進めていた。私はすでにビジネスリーダーを離れ、マレーシアの現地社長であり欧米ビジネスについては「蚊帳の外」にいた。ところが欧州拠点の買収が本格的に進むにつれ、「誰が現地のリーダーをやるのかが全く見えない」という声が上るようになっていた。そんな時マレーシアで私を補佐してくれる立場のディレクターから「Rainさん、あなたが欧州に行くのが一番ふさわしいですね」と言ってきた。勿論私は前年末に社長から「マレーシアに骨を埋めてくれ」と言われた旨を説明し、そんな事があるはずがないとたかをくくっていた。ところがそれから1ヶ月後上級ディレクターから正式に欧州駐在の命を受けることになった。この件を通じて思ったのは「人の人事はよくわかるが、自分の人事はわからない」ということだった。

人の人事には関与したが自分の人事は全くわからなかった