数を減らすという考え方
私が担当していた仕事は長らく赤字が続いていて明るい未来が見えていなかった。そんな時にこの事業を立て直すべくある上級取締役の方が工場に出入りされるようになった。半年ぐらい工場の中で色々調査を行い関係者と話をされある結論を出された。その結論とは「この工場は物の数がおおすぎる。もっと減らさなあかん。まず半分にしなさい」というものだった。この指令に対しては多くの工場関係者から反対が出た。物の数はちゃんとした理由があってそれだけ必要なわけで、不必要に多く持っているわけではないということだった。ところがその方はおそらく色々な現場での無駄というものを昔から見てこられたのだと思うが、工場の意見に耳を傾けずに順番に数を減らすことを推進していかれた。まず数100単位であった機械設備に目を付けられた。「何故こんなに機械が多いのか?」という質問に対して工場関係者はお客さんの受注数の話や時々に変化する売れ筋製品の品種数の説明を行った。ところがそのトップの説明は単純で、1台の設備の能力が低いから何台も必要なのではないか?今より10倍の能力に設備を変えたら設備数は1/10になるのでは?という理路整然とした質問をされた。工場の者はそれでも設備能力を上げることが難しい理由を説明していたが、最後は「できない話はいい、どうやってやるかを聞かせてくれ」と言われぎゃふんとなってしまった。そして「設備を減らしたら運転する人や管理する人の数も減る」と言われ、結果工場現場で働く人員数は最終的には1/3になってしまった。さらに設備や人を減らすと場所が空き、新たな仕事を生むスペースが生まれることも習った。

数を減らすことにより付随する種々の無駄が減っていった