Tさんの日本流仕事の仕方1
先日米国から帰ってきたTさんと食事をする機会があった。Tさんとは入社当時から一緒に仕事をしてきたが、海外駐在についてもマレーシアと米国で同時期に仕事をした。特に私が日本へ帰任した後Tさんが私の後任として米国の技術担当となったため、どのように彼が米国工場で活躍したかを聞くのは楽しみだった。そして彼の話を聞くうちに、思わず彼もいわゆる「日本流」の仕事を米国に持ち込んでやっていたのだと笑ってしまいそうになった。実際私自身も現場を歩き、ブルーカラーの現場の作業者と話をして一日を終えるような仕事をしていたが、これはある意味「日本流」の仕事の仕方であった。彼の場合も随所にそうした日本流の仕事の仕方があった。例えば私の勤めていた会社のように24Hrフル操業の工場を持っている会社の社員は朝早くから現場の人とコミュニケーションを取り、自分が目で見ることができなかった夜勤や早朝の状況を把握するようにしている。Tさんは朝早くに出勤した後、朝勤のシフトのミーティングに参加して現場の状況を聞いていたそうだ。Tさんは決して英語は上手ではなかったが、少しでも会社の為に朝早くから現場の人と一緒に情報を知る努力をしていたが、これはホワイトカラーの人もブルーカラーの人も「全員一致してがんばる」という気持ちを感じさせる非常に日本的な行動だと思った。また私も同様な経験をしたが、クリスマスや正月といった「家族で過ごすような祭日」にも敢えて会社へ行き、交替勤務のシフトで祭日を祝えないようなブルーカラーのオペレーターを励ますような行動を自発的に皆に示していたようである。

海外でも「現場に入り込む」日本流のやり方を貫いたTさん