好きなボサノバ曲「イパネマの娘」
ボサノバというとラテン系音楽で透明感のあるサウンドをイメージする人が多いと思う。そしてボサノバと言えばとなるとこの「イパネマの娘」が代表曲になるだろう。この曲の特徴は何と言っても半音ずつ転調していくⅡ―Ⅴのコード進行であろう。私自身この曲を演奏してからⅡ―Ⅴの面白さに目覚めたと言っても過言でない。この曲の作曲者であるアントニオ・カルロス・ジョピンは数々のボサノバの名曲を作曲している。「おいしい水」「メディテーション」「デサフィナ―ド」など学生時代に一発勝負でどこかのバンドと合せた曲が彼の曲である事を今知った。よくモダンジャズの曲を途中4ビートから8ビートに変換して演奏するスタイルをよく耳にしたが、このイパネマの娘を4ビートに変換したという話は未だかつて聞いたことがない。はっきり言って4ビートにしたら、イモであり全くカッコよさが出ない曲となる。彼の他のボサノバも同様だ。そのくらいに彼の確立したボサノバの境地は彼でしか出せない味があると思う。曲自体は素晴らしいが、一方演奏する側に立ってこの曲を考えてみると、この曲はやや飽きがくる所がある。というのもベースを演奏する私にとってボサノバというジャンルの演奏は最も遊びが許されないタイプの曲であるからだ。実際ボサノバでのバック演奏はベースの場合、ドーンドドー~ドーンドドーの繰り返しばかりだからだ。これが4ビートだと多少遊び心があって、高音部へ上がっていったりスライドを使って勢いをつけたりする演奏が許されるが、8ビートを守るボサノバではそういう伴奏は合わない。逆に言えばこの種の演奏は「休憩」と心得て演奏していた。

ボサノバの代表曲「イパネマの娘」