外部取締役の価値
昨今経営の監視という観点で外部取締役を置くことが義務付けられるようになった。はっきり言って、長年その会社で働き我こそこの会社を大きくしてきたと思えるたたき上げの経営者にとって、この外部取締役とはなんぞやという感覚ではないかと思う。実際私も一時期経営者層の片隅にいる時代があったが、当初このルールが始まった時には多くの取締役が懐疑的な見方をしていたようだった。よくある話は「大体実際にその会社で経営したこともない奴に本当に会社を良くすることなどできるはずない」というような意見だった。確かにレベルの低い社外取締役が就任したならそういう話もありなんと思う。しかし本当に経営ということに長けた「プロの経営者」という目から見ればおそらく「はえぬき経営者」とは異なる提案を出せる可能性は十分あると思う。まず先輩の例を挙げると、私が課長時代に別のビジネスユニットからトップの方が来て、我々が長年改善しようとしても上手くいかなかったビジネスを短期に立ち直らせたというのを目の当たりにした。実際他のビジネスユニットから来たその方は、我々のユニットとは何のしがらみなく、既成概念を外してビジネスについて判断をすることができたのだろうと思う。また僭越だが私自身の例を挙げると、私は長い間同じ商品に関わってきたが、会社最後3年間は障害雇用という全く違う畑で働いた。この際に色々変えていったが、現場は常に保守的でどんな変化も好まないものであった。しかし変えてしまうと当たり前のようにそれが「次の当たり前」になっていくのを見た。おそらく社外取締役の価値はこうしたものではないかと思う。

社外取締役として本当に価値ある人材もいる