オランダの工場長が英国に行ったらしい

 2016年に米国資本の会社の欧州部門を買収した。買収したのはオランダと英国の2拠点であった。残念ながらオランダ拠点は種々の努力のかいもなく、2020年代に入って事業閉鎖を行う判断がなされた。私は買収した時点から欧州管轄を拝命し現地でもがいていた。当時オランダには古参で名物の工場長が全体の指揮をとっていた。彼は剛腕の工場長で何年もの間労働組合とやり合い何度も揉め事を起こしていた。一方そういう労務問題には強い反面技術者として生産性の工場についてはやや満足いかない所もあり、私をはじめとした日本人技術者とも相いれない部分があった。しかし工場長自身も変化が必要と考えていたのだろう、ある日自分の後継者候補として40代前半の技術者をスカウトして製造部長として据えた。製造部長は元々金属関係の会社にいた事もあり、また「トヨタ生産方式」など日本式経営手法についても一定の理解を持っていた。彼が就任してからしばらくは私が日本の技術的なバックグランドについてこんこんと彼に説明を行ったが、頭の良い彼は色々な考え方を理解していった。そのうち労働組合との折り合いが完全に悪くなった工場長がついに解雇される事となり、この製造部長が新しい工場長としてしばらく働いていた。ただ彼の種々の努力にもかかわらず、最終的には日本本社はオランダ工場閉鎖を決めた。そのうち風の便りに聞くとオランダ工場で働いていた彼は英国工場の工場長として英国のマンチェスターに渡ったとの話を聞いた。英国人とオランダ人の愛称はいかがなものか日本人より良いのかなどと思ってしまったが、まずは彼の成功を祈るばかりだった。

オランダ工場長は英国工場長として働いていた

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