好きなJazz Blues2「Bags Groove」
実はこの曲には深い思い出があった。私が学生時代社会人バンドに入った時にHさんという人がジャズを教えてくれた。その人が「ジャズやるんやったらまずこの曲やろか?」と持ってこられたのがこの曲だった。曲自体は極めて有名なマイルス・デイビス楽団の演奏で、テーマはビブラフォーンのミルト・ジャクソンが弾いている。(BagsのBagはミルト・ジャクソンの愛称らしいが、Bagのどこが愛称に結びつくのか?)この曲を聴いて最初は「なんや?」と思ってしまった。同じ4小節のフレーズが3回演奏されるだけの曲だった。ところがその後にこういう単純なメロディーの背後に隠されたジャズのコード進行のすごさを教えられることになった。当時のバンマスであったHさんが「そしたらコードを配るよ」と皆に譜面を渡してくれたが、それを見て私は見たことがないそのコード進行に驚いた。それまでに私が理解していたブルースというのは3コードを繰り返して弾く12小節の音楽だった。ところがその譜面にかかれたコード進行にはいわゆるⅡ―Ⅴ―Ⅰ進行というものが記載されてあった。なんやこのコード進行はと実際にコードを弾いてみた。その瞬間に心の中で「これやがな、ジャズは」と叫んでしまった。要は単純なセブンスの3コードではなく、同じメロディーのバックに甘くせつないようなコードがからみつくジャズの美しさの一端を始めて知ったのであった。種々の歌謡曲にコード進行を変えて、高尚な雰囲気を作るという技法があるがまるでそんな感じだった。

単純なメロディーに幾千のアイデア、ジャズブルース珠玉の1曲