金利のある世界に戻ってきた
私が生まれてから20才ぐらいまでは日本は破竹の勢いの成長を遂げていた。戦後10年が経過して日本は現在の新興国と同様貿易立国としての発展モードに入った。1970年代前半には政府の「所得倍増計画」の下に国民は世界に追いつけ追い越せと努力した結果、1980年代には世界一の「ものづくり大国」の地位を築くことができた。この間インフレは加速したものの、給与もそれに見合うだけ上がり、銀行金利も5%と今では考えられないような高い値を示した。また地価もどんどん上がり「土地神話」という言葉も流行った。国民は土地の高騰と銀行預金で資産を倍々ゲームで増やすことができると信じていた。ところがバブルがはじけ状況は一変した。物の値段が上がらないあるいは下がるデフレ状態が長く続き、同様に給与も上がらないいわゆる「失われた30年」を過ごすことになった。この間「0金利政策」がとられ銀行預金では資産運用の期待はできない状況になってしまった。ところがバブル期から30年が経過した2020年代に入り、久しくインフレとか金利増という言葉が聞かれるようになってきた。そしてこれに呼応するように長らく停滞していた賃金増の話が出るようにもなってきた。本来正常に国が発展していくならば、国の発展の原資であるべきお金の金利は少なくともプラスであるはずだし、国の発展に伴い物の価格はいくばくかは必ず上がっていくべきである。こうした経済の動きは国力の強弱を表しているように思う。そんな事を思うと日本もようやく経済的に「成熟したかつ正常に一定の発展を遂げる国」としてやっていけるのではないかという気がする。

お金を預けてもお金が増えない時代が長く続いた