重厚長大な仕事が減っていく

 私は25才の時に会社に入社したが、入った企業はいわゆる重厚長大な産業だった。「非常に大型で重い設備を使って、大量の製品をこれでもかと作り出す」というのが重厚長大産業のイメージだ。国が初めて産業創出に目覚めて国力強化に乗り出す時には、この種の重厚長大な産業を始めるものである。大きな工場でどんどん製品を作り出すというイメージは富国強兵を行う国にとっての一つのステータスシンボルになるというわけである。また中で働く人にとっても、社会の為に働いているという自負心を感じるような面もある。実際私が会社に入社した際には大きな設備から次から次へと流れ出る大量の製品に感動して社会のためにがんばろうという自負心を感じたものだった。したがって昔の良い会社のイメージというのは「最大規模の工場」であるとか「最大の引き上げ量」とか「最高の生産と最高の販売」とかいった大量生産と拡販というのが前面に出ていた。まさに昔タイプの仕事だった。ところがある時期から重厚長大と全く反対の「軽薄短小」という製品を作り出すのが主流になるようになった。その頃には「大量に作る、売る」ということより、「いかに効率よく作って利益を生む」かが賢い企業の進む道になっていったからである。大きい設備は初期投資がかかり、フル稼働しないと元手を回収できない。しかし世の中良い時も悪い時もあり、常にフル稼働はできない。軽い設備は初期投資が小さく景気の良し悪しに応じてある程度調整が効く。また元手の回収も早いので利益を生みやすい。したがって「高付加価値な製品を軽薄短小な設備で作る」のが新しい工業の主流になっていった。

重厚長大のビジネスから競合会社が離れていった

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