オールドブラックジョーと綿花畑
小学校の時に「オールド・ブラック・ジョー」という名前の歌を習った。その時は何も考えずに歌を歌っていたが、大人になって意味深い歌であることを知った。ヨーロッパから多くの移民がアメリカへ渡り、その後アフリカ大陸から多くの奴隷を連れてきて重労働をやらせた。いわゆる「奴隷制度」の頃の話がこの歌のテーマになっている。黒人奴隷制度については米国を二分する社会問題にもなり、最後は南北戦争で同じアメリカ人同士が殺し合うことにもなった。そしてその後も奴隷差別が続いた。歌の内容は黒人奴隷の主人公ジョーを思い出し、「私も苦しい重労働から早く解放されジョーのいる天国に行きたい」というようなものでなかったかと思う。実に作者フォスターが1860年に作曲した曲のようである。小学校で習った曲はほとんど忘れてしまったが、何故かこの決してメジャーでない曲は私の耳について離れず、時として何か郷愁みたいなものを感じさせてくれるものだった。その後高校時代にブルースやゴスペルや黒人霊歌をよく聞くようになり、これらの歌の背景には黒人差別で苦しむ黒人たちの叫びがあり、さらに言えばこの歌のように大昔アフリカから連れられてきたオールド・ブラック・ジョーのような人の叫びと同じ匂いのする味わいを感じた。そして黒人奴隷の重労働の代名詞と言えば「綿花畑」(コットンフィールズ)での重労働である。実際私は綿花畑というものを見たことがなかった。米国駐在中たまたまドライブしている際に綿花畑を見ることになった。これが歌に出てくる綿花畑か?感動!

米国南部でお馴染みの綿花畑