歩くのが遅くなった
会社に入った頃は「Rainさんは滅茶苦茶歩くのが速いですね」と言われたものだった。まず仕事中はとにかく早く仕事を片付けていきたいので、速足で歩いて目的地まで行き要件を済ませて次へと行動したかった。結果として、道中を歩くことは付加価値が低いのでできるだけ早く終わらせて付加価値の高い要件処理へ進みたかったということだろう。特に工場内の移動は基本徒歩だったので、この行動原理が顕著になった。会議から会議のために別の棟への移動をする際、私の足は滅茶苦茶速くなった。一緒についてくる同僚の人は「すみません。もう少しゆっくり歩いてください」と懇願してきたぐらいだ。いや会社員時代より前から足は速かったような気がする。学生時代デートで女性と歩いていると、「待ってください」とよく言われた記憶がある。目的地で何かする事には美学は感じたが、ゆっくり歩くことに美学は感じなかったのだろう。結果女性からはせっかちな人だと思われていたかもしれない。ところが会社を離れてからこの足の速度は大きく落ちた。一つはバタバタして行動する必要もなくなったので、ゆっくり歩いて景色を楽しむ余裕が出たというのが理由だ。また膝が悪くなり、慢性的な腰痛を抱えるためにあまり無理しなくなった面もある。道を歩いていると後ろから足音が近づいてくるのが聞こえる。若い学生さんが速足で私を抜いていく。最近は速足の女性にも抜かれることがある。以前ならこんな事があるとむきになって速く歩くようにがんばったが、今はこんなもので良いかと思うようになった。それでもアルバイト職場では年の割にはバリバリ働く方だと言われるが。

会社を離れてから歩くのが遅くなった