中国製品の脅威2

 工業化が始まると中国は「世界一」に向けて挑戦を始めた。私の担当する製品で言えば、それまでは生産販売量で1位から3位までは欧米の会社が占めていたが、中国が本格的に工業化に参入した2010年頃には、世界のBig3は1位はかろうじて米国の会社だったが、2位と3位は中国の会社が占めるようになってしまった。この2000年代前半から2000年代後半の10年間の間、勿論各々の企業の努力もさることながら、中国企業に対しての中国政府の援助というものが大きかった。日本でもかつて「富国強兵」政策を取っていた時代は政府から種々の援助政策がなされていたが、2000年代の中国政府の中国企業への援助政策は外国企業から見ると競争原理を無視した不公平な政策のように見えた。例えば税金については国家が指定した成長期待分野の場合、長期にわたって支払いが免除された。また本来企業と言うものは利益を出し、その利益を使ってさらに成長していくものであるが、この利益の計算上減価償却という考えがある。これは税金をしっかり支払うために、大きな固定資産を使用可能な期間にわたって費用配分して税金計算をする仕組みである。ところが中国企業は工業化開始の最初の頃はこうした減価償却を取り入れないかのような経理計算をしていたという噂もあった。また生産に使用される高価な部材、例えば白金部材を購入ではなく、政府からの貸与で使用できるような優遇措置もあったと言われていた。さらに欧米企業では環境汚染を抑えるための環境管理設備に多額の費用を使っていたが、中国企業はほとんどそうした設備に投資しないというハンディーもあった。

「世界の工場」中国には種々の国家ぐるみの経済的優遇措置があった

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