Jazzは代替コードがある

 馴染みのある曲なのに全く違う曲に聞こえることがある。松崎しげるの「愛のメモリー」という曲は初めて聞いた時はフォークソングのように結構わかりやすい曲だと思っていた。ところが松崎はある時期からこの曲を全く違うコードを使って歌うようになった。聞いた感じはフォークソングからジャズバラードに変わったような気がした。何か大人びた雰囲気の漂う曲に変化してしまったように感じた。このようにコード進行を変えることで曲のイメージはコロコロ変わる。ところでアドリブあるいはインプロビゼーションというのは同じコード進行でありながら、個人個人の浮かび上がる旋律に合わせて全く別のメロディーを演奏する。この時にコード進行を敢えて変えていく事によってさらに全く違う世界が生まれる。よく同じコード進行で演奏しているはずなのに、演奏する人によって同じ曲ではないようなアドリブ演奏が行われるのは何故だろうと思っていた。おそらくこの理由は「敢えて違うコード進行を使う」ことによってメロディーが持つイメージが大きく変わってしまうからだろう。しかも違うコード進行と言っても実際は「代替コード」と呼ばれるコード進行が使われることになる。例えばブルースでは一度と四度と五度のセブンスコードが使われるが、ジャズお決まりのⅡ―Ⅴというコード進行に置き換える事ができる。例えばハ長調のブルースにおいてC7からF7に変わる前に、C7の代わりにGm7―C7に置き換え、続いてF7の進行で演奏してみると急にジャズになる。プロと何か違うと長らくイメージが湧かなかったが、代替コードを考えていて突如理解できた一例。

「愛のメモリー」は代理コードを使った演奏で全く異なる曲になった

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