バブルの時代
1990年代はバブルの時代だった。私は会社に入って約10年経ったが、不動産や株が高騰したと思ったらあっと言う間に下がり、その後に大手証券会社や銀行が倒産するという大事件が次々と起こった時代だった。バブルが弾ける前は、誰もが株さえ買えば儲かったし、成金が金を借りて簡単にフェラーリやポルシェを買い、そしてそれをまた資産として儲けるという商売も流行った。私は元々お金儲けには全く興味がなくどちらかというと仕事一筋の人間だったが、それでもまわりの浮かれ様を見ていると時として〇〇証券で株の一つも買ってみようかと思ったぐらいだった。そしてバブルが弾け、一気に日本経済は暗黒の時代に入った。それまで5~6%近くあった銀行金利はほとんど0%に落ち、それまでの日本人の資産運用の道はなくなった。それまでいけいけだった日本経済は引き締めに入り、会社員の給与も年功序列で誰もが順番に上がっていくというルールが崩れ、実力主義への見直しが図られるようになった。そしてそういう見方で見ると、職場には実力のない中年社員があふれるように存在しており、そうした社員がいわゆる「肩たたき」をされて会社を追われるようになった。また企業は一旦そうした「人減らし」をした後、いわゆる非正規労働者を増やすことで総額人件費を上げないような努力をするようになった。まだ若かった私はそれを見て仕方ないと思う反面、自分の将来がどうなるかという不安も感じた。実際この頃に将来がどうなるのかを不安に感じた私は、35年ローンで借りた住宅の早期返済をすべきと金利の下がった市中の銀行ローンへの借り換えによる返済も行っている。

バブル時代に人生の浮き沈みを見た