稲森和夫さん

 稲盛さんは京セラ(京都セラミックス)の創業者として知られている。私も学生時代セラミックスの勉強をしたことがあるが、セラミックスは古くて新しい素材である。最初は京都の山科で小さなバラックのような工場からスタートして、全世界で約8万名の従業員を有し、2兆円を売り上げる大企業に育てた人である。京都には小さい規模から大企業に育った会社がいくつもある。各種産業用モーターで世界を席巻した日本電産(Nidec)や「やってみなはれ」で有名なサントリーや下着メーカーながら世界で名の通る「Wacoal」などちょっと変わった経営者で有名な大企業が多数あるが、この京セラの稲森さんも多くの中小企業の社長さんが信奉した経営者だった。稲盛さんの経営の特徴は「アメーバー経営」という独特な手法にあると言われている。私もあまり詳しくないが、事業全体をアメーバーのように細かく配分して、その各部署がそれぞれ健全に動いているのかを関連する多くの細かい数字で見ていくという。実際一般的な経営者は全体の代表的な数字を指標にして議論する経営者が多いが、この稲盛さんは非常に細かい部分までメスを入れて経営をされていたようだ。この手法が大きく役立ったのは、稲盛さんが晩年傾いた日本航空の再建を任された時だったそうだ。何人もの経営者が諦めた日本航空の経営を、飛行機など無縁の稲森さんが成功できたのはこの細かい数字のチェックだったようだ。この人は晩年仏門に入り、「人間とは」とか「生き方とは」とかいった観念的?な模索をされていた。ちょっと私には相容れない感じだが、ただこの人の「諦めなけば失敗しない」は大好きな言葉だ。

人にも自分にも厳しく精密な経営をされた稲盛さん

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