M&Aをやるニデック、最も難しいのは米国らしい

 日本電産(最近はNidecに名称変更した)は会長永守重信さんの強烈なリーダーシップの下、短期間で会社を巨大にしてきた。そしてその手法はいわゆるM&Aである。M&Aとは元々ある分野でそれなりの業績を上げていた会社を買収することで規模拡大をする手法である。買う側からすれば、一から新たなビジネスを起こして大きくするより、すでにある規模まで大きくなった会社を買う方が、売上を上げノウハウを蓄える速度は飛躍的に早くなる。また買われる側もそれなりの経営状況に問題を抱えている場合が多く、大きな会社に買収される事により経営的な問題が解決されるという点で歓迎される場合も多い。またM&Aの場合、通常株の買い取りによりディールが行われるが、経営が傾いた会社の株でも買う側はその時点の株価に「色を付けて」高い株価で買い取ることになるので、買われる会社の株主にとっても悪い話ではないということになる。M&Aはこうした良い面が多数あるが、問題は買われる会社で働く従業員のモチベーションにあると言えるだろう。せっかくこれまで会社の為に、一生懸命働いてきたのが突然知らない会社が乗り込んできて新たな方針ややり方で指図されたら従業員は困ってしまうだろう。私は2016年から2018年に米国の会社から買収した欧米の会社に現地経営トップとして派遣されたが、このモチベーションの部分で大変苦労した。Nidecは過去すごい数の会社を買収し、すべて業績を上げてきた。前述の永守さんによれば、多くの国の会社のM&Aを手掛けたが、最も難しいのは欧米、特に米国の会社だそうだ。米国人はプライドも高く、売られた会社なのに過去のやり方をなかなか変えられない。永守さんによれば「数年泳がせてから変えていく」そうだ。

M&Aの巧者Nidec永守氏。彼でも欧米人は手ごわいらしい。

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