強いオランダの労働組合

 米国の会社の買収において最初は欧州地区の買収から始めた。私はオランダとイギリス2拠点のうち本社があるオランダに住んで全体を統括することになった。実は10年ほど前に競合他社の買収を企んだ事があった。そこはベルギーを本社とする会社だったが、その時ベルギーは労組が強く組合交渉は大変だと言われていたが、このオランダについても世界最強に近い強い労働組合で有名であった。結果欧州は世界でも最も高い賃金を支払う地域となってしまった。そんな話を聞いていた中でオランダでの仕事が始まった。まずはっきりわかったのは組合と会社の間には深い溝があった。会社は組合との話に我々買収元が関わるのを非常に嫌がっており、また組合側も現工場長(実質のオランダ部門の現地社長)が15年以上も居座っているのを強く非難していた。実はこの工場は交替勤務のシフトが元々4組3交替から5組3交替に変えていた。3交替とは朝勤務、午後勤務そいて夜勤の3つの勤務を交替して仕事をすることで、それを4組(3組は仕事、1組は休暇)であったものを5組(3組は仕事、2組は休暇)でやるようにしたということだった。単純計算して人員を25%増やして休暇日数を25%ふやすというやり方だった。ところが休暇が増えるだけならまだしも、支払われる賃金は同じということだった。日本はそういう言い方では4組3交替のシフトだったので、欧州は明らかに「短時間労働、多休暇」の勤務になっていた。一時期この点を米国のマネージメントから言われて元に戻した事もあったようだが、強い組合の反発に負けて5組に戻す事になったとのことだった。

強いオランダの労働組合は「短時間&多休暇」を勝ち取っていた

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