BarTで会うイケイケの親爺たち

 時々よその土地で飲んだり人と会う時がある。こういう時は車を置いて電車で出かける。そして帰ってくる時にまだ元気があればTという名前のBarに立ち寄るようにしている。ここはマスターが昔のロックンロール小僧で、若い頃からクールスとかキャロルといった日本を代表するロックンロールバンドのメンバーと交流があるとの親爺だ。年齢は私より数才若いが恰好は昔のロックンローラーのいでたちで、髪型は勿論リーゼントで決めている。この店で一人で飲んでいると次から次へと風貌に特徴がある親爺たちがやってくる。例えば昔ミュージシャンだったらしい親爺がやってきて、店にあるギターを勝手に弾いて何か昔懐かしいような曲を演奏している。マスターから「この曲知ってる?」と聞かれたが知らないと答えると、「この曲は矢沢永吉、エーちゃんの曲だよ」との事。「すみません。僕はあまり矢沢永吉の曲は知らないんです」と答えると、隣の席に座っている顔に入れ墨の入った怪しげな親爺がじろっとこちらをにらむ。店のつくりは「アメリカン・カジュアル」という雰囲気で、若い頃マスターが憧れた古き良き時代のアメリカンバーである。そのうち1パターンの3コードのブルースが始まると、イケイケの親爺たちが順番に楽器に参加していく。このコード進行なら入れないことはないが、どうもしばらく楽器とは無縁の生活をしてきたので、若干気後れしてその場では参加できなかった。いつか平気で入れるようにならないと思った。マスターはイケイケ親爺たちから「もっちゃん」と呼ばれていた。もっちゃんを中心にその店は夜中までうるさい親爺たちの話題で盛り上がる。

BarTで飲んでいるとこんなイケイケ親爺に会う(AI画像)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA