「1980年代」という本
最近「1980年代」という本が出版された。1980年代は第2次世界大戦後、復興を続けてきた日本が一時ではあるが世界の頂点に立った時代であった。この頂点は長くは続かず、その後バブルの崩壊とともに「失われた30年」へ移っていった。この本はこの頂点に立った日本経済をバックにして、その中で行われた政治経済がどのようなものだったのか、また反戦~反核兵器~反原発へと移っていった左翼思考の活動がどうであったのか、あるいはその時期にどういう文化やファッションが生み出されたのかなどが書かれている。日本が見かけ上の頂点に立った時代に日本人がどういう気持ちで生きていたのかを知るのはそれなりに興味あるが、一方もう少し冷めた目で見ると急速に経済発展した民族が必ず見せる「調子乗りの醜態」を思い出す必要がある。当時は多くの人が「日本人は勤勉でどの国の人よりがんばってきたので世界一になれた」と本気で信じていた。しかしその後NIESと呼ばれる韓国や台湾企業が新たな経済発展を経験すると同様な「調子乗りの醜態」を見せた。韓国ではサムソンが「世界一強い企業のモデル」としてもてはやされたし、韓国ドラマは日本でも一世を風靡した。同様に台湾でも種々の電子部品企業が育った。そしてそれぞれの国民が「もはや日本などアジアNo.1でない」と豪語した。そしてそうやって威張っていた国を尻目に1990年代終わりから中国の経済発展が顕著になり現在に至っている。そしてその中国も「自分たちはNo.1」だと言い、調子に乗って戦狼外交など圧力をかけ始めている。まさに「調子乗りの醜態のたらい回し」が続いている。次はインド?

1980年代一瞬日本人は世界一だと感じたが・・・


