プロはアドリブしながら歌う
昔からジャズのレコードを聴くと、バックに小声でおっさんの歌声が入っているものがよくあった。これはミュージシャンが自分自身のソロを声に出して演奏と一緒に歌っているものである。クラシックでは絶対見ない光景だが、さすが即興演奏を中心としたジャズではプロは毎回毎回同じ和音の並びに対して異なったソロ演奏を行う。そしてその旋律はその瞬間に浮かんだものだ。プロ演奏家はその旋律を歌いながら、次の旋律を思い浮かべそれを楽器に反映していく。当然ながらかれらは自分が出したい音を楽器でどのように出せば良いかを完全に理解しているからできる技だ。昔ジョージ・ベンソンというギタリストが一世を風靡したことがあった。彼はソロ演奏中に自分のギターソロとユニゾンで歌声をスキャットで歌った。当時私はこれはすごいことだと思ったが、考えてみればプロの演奏家は頭の中に描いた旋律を歌うことも楽器に表現させることも当たり前にやれるので、彼らにとって全く難しいことなどやっていないのだと気がついた。よくジャズのソロで「掛け合い」という技がある。あるソロをサックス奏者が吹くと、ピアニストが同じソロを弾いてみせるとか、ギタリストが変拍子のリズムであるリフを弾くと、ドラムスが敢えてそのリズムに合わせて追いかけるとかいった状況だ。このようにジャズ、特にモダンジャズ以降の時代のジャズにおいては、自由に相手と演奏中に掛け合いをして、お互いがお互いを盛り上げていくという演奏を行う。こうしたスリリングな演奏が聴いている者を感動させるわけである。勿論私はまず自分が頭で描く音を瞬間に楽器に反映させるなんてできないが・・

バックでオスカーピーターソンのつぶやきが聞こえる演奏録音が多い


