不良品を減らすには検査を増やすの?
お客さんから大クレームを受けた。お客さんの直接の担当は品質保証部の人だったので、彼らは「これは製造工程の検査が不十分なのでこんなに酷い製品が客先に流出するんだ」と訴えてきた。一方生産側は「現場は必死でやっている。これ以上検査を行う余力などない」と言う。最後は双方の主張を述べ決裁する上位会議にかけられる事になった。私は製造側のリーダーだった。まず品質保証側から「客先はこんなに酷い不良が出ている。これは製造部門の検査の怠慢だ。もっとちゃんと検査体制を見直すしか解決策はない」という提案だった。そこで製造側に立った私は全く違う意見を述べた。「本当に検査ばかりやれば良いのですか?現場は何でもかんでも検査して直すのに疲弊しています。客先が本当に問題にするのは信じられないほど規格から大きく外れた不良品だけではありませんか?現場は検査と修正に疲れ切って、本来見逃してはいけない不良まで見逃してしまっています。したがってもう少し検査基準を甘くして現場の負担を減らして下さい。その代わり現在客先が問題視しているとんでもない不良品は100%出しません」と。クレームの矢面に立ってかっかしている品質保証部の「検査を増やせ」に対して、私は「検査を減らすべきだ」と返答したわけだ。その時の相手のにらむ顔は今でも覚えている。しかし当時の上司が面白い裁定をした。「今のままやっていても解決しないんだな。なら製造のやり方をやってみたらどうだ。客はブリは欲しいがさんまはいらんと言っている。製造部の網はさんまなら取り逃がすがブリは絶対逃がさないと言っている」と。結果どうだったかは言うまでもない。

規格を広げる代わりに絶対流出させてはいけない不良品だけは出すな!


