テーマをかみしめながらソロを作る
若い頃プロミュージシャンの演奏をコピーしていた。通常ソロフレーズは短い場合でも数コーラスは続く。そしてこのソロには文章で言う起承転結を持ったストーリーが入っているような気がする。例えば始めゆっくりとした演奏で物語が始まり、途中から速度が速まっていき、その速度のまま美しい同じメロディーが繰り返され、そして思いのすべてを語り終えて最後は心を落ち着けて静かに次のプレイヤーへ引き継ぐといった演奏が行われる。次のプレイヤーも前のプレイヤーから引き継いだメロディーや変拍子のリズムを大事にしながら徐々に自分の世界に持って行く。プロミュージシャンというのはそうした演奏が常にやれる。そしてその元になるものは原曲である。スタンダードと呼ばれる原曲は、例えばその昔作曲家が経験した淡いあるいは悲しい恋の出来事を旋律にしたものである。それをプレイヤーAは「私はこんな風に感じる」と歌い、プレイヤーBは「そうそうこんな経験もしたよね」と訴えかけているように聞こえる。こうした感情の入り混じった音のぶつかり合いが感動を生んでいるのだと思う。そうやって思うと、素人の私が弾くソロは全く違う。合っているのは和音の順番と小節数だけだ。後は物語のない「世間話」をダラダラとお互いにしゃべっている主婦のように続けているだけで、いつ終わろうとするでもなく何となく気がついたら終わるというようなソロしかできていない。本当はもっとじっくり原曲を味わう必要があるのだが。プロの演奏家の中にはソロに入っても少しづつ原曲を崩しながらソロを変えていくという人がいる。まさに良いお手本だと思う。

テーマのフレーズを大事にしながら即興演奏へつなげる


