上田正樹とSouth to South

 上田正樹というミュージシャンがいる。私より一回りぐらい上の人で、私が学生時代京都でブルースに夢中になっていた頃、同系統の音楽を歌い人気のあった関西系の歌手だった。歌声がいわゆる黒人系のハスキーに甘さを足したような感じで、黒人音楽系は何を歌わせても様になる人だった。ただこの人の名前を一躍有名にしたのは「悲しい色やね」という一つ間違えばムード演歌のようなバラード曲だったが、実際の演奏活動を聞くとより泥臭い演奏をしていた。最近は演奏もあまり耳にすることもなく少し忘れかけていたが、たまたま彼が35才ぐらいの時に、京大の西部講堂という場所で演奏している動画をYouTubeで見ることができた。バンド名は「上田正樹とSouth to South」で、バンド名の由来はおそらくブルースなど黒人音楽の発祥地であるミシシッピ川に向かって「南へ南へ行く」という意味ではないかと直感した。曲もソウルあり、ブルースあり、ロッカバラードあり、ラグタイムありと盛りだくさんだった。すべてが黒人音楽の部類で聴いていても飽きなかった。さらにこうした音楽に特有な「遊び」を取り入れたお洒落な仕立ても入っていた。例えば上田正樹は勿論メインボーカルだが、メンバーのギタリストがしわがれた声で浪曲のようなバラードを歌うとか、吉本で漫才師をやっていた北京一(奥さんは黒人女性だったと思う)がメンバーに入っているとか変わり種メンバーが集まって独特の雰囲気を作り上げるバンドだった。ステージは大阪出身者が並ぶステージらしく、「笑い」だらけのMCで時間が経つのも忘れて夢中になって聴いてしまった。

ど真ん中の大阪音楽を続けた上田正樹とSouth to South

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