フィート/ポンド/℉を使う米国
海外駐在員としての私の立場は一応経営責任者&技術系指導リーダーであった。経営の部分は売上とか利益とか利益率とかキャッシュフローといった標準化された数値で皆が共有する事ができるので特別買収先の会社に対して注文をつける所は少なかった。ただ費用をどの項目に入れるかなど会社によって違う部分はあったが、それは話し合いで合わせていくことができた。問題は経営指標となる数値をどうやって改善していくかであった。大きくは「売上を上げる」「コストを下げる」「品質を向上する」みたいな対策に帰着するのだが、そのために水面下で必死でやらねばいけない事が営業所と工場であった。営業面は日本から駐在先に色々支援してもらう事が多かったが、工場の改善は完全に私の責任範囲だった。そこでそれぞれの工場がどんなものづくりをしているのか、どういう条件で生産しているのかなどを調査していったが、そのたびに使う単位で壁が生じた。私は中学生ぐらいの時に先生から「昔は色々な単位があったけれど、現在はそれぞれの国がmks単位で合わせている」という話を習った。m=メートル、K=KgやKm、s=秒だった。ところが買収した会社は米国経営が色濃く出ていて、重さはポンド(Lb)だったし、長さはフィートかマイルだったし、温度は℃(摂氏)ではなく℉(華氏)であった。そこでまず好き嫌いは別として「国際標準」のmks単位に合わせる事から始めた。数ヶ月すると比較表にはmksで数字が揃うようになった。しかし会社でいくらmksを使っていても、米国人は一般生活で何ポンドのステーキを食い、何マイル先へドライブし、今日は何℉なので暑いと言い続けた。

国際標準単位mksに慣れない米国人


