毎年四季折々の花に癒される
定年して最初の3ヶ月はいわゆる「退職手当」をもらうためにアルバイトに行くことができなかった。したがって毎日家の近くを歩き、喫茶店に行き、ぼーっとした毎日を送っていた。こんな生活を続けていたらあかんようになるなとは思ったが、それでも毎日の観察の中で変化を楽しむことはできた。一番顕著だったのは草花の成長だった。何となく草花は春ごろに咲き始め、秋に枯れるというイメージだが、実際は毎年同じような順番で草花が地面から出てくる。定年する前外国から帰国して3年間私は「窓際族」としてこうした自然の変化に気を止める余裕があった。1年前に写真に残した草花の成長を見ながら「今年もぼちぼちこの花が咲くな」などと思っていた。花の中には自己主張の強い花/弱い花や一番乗りの花/あとから順番に咲く花など色々あるが、まるで人間のようだなと感じたりした。また川の堤防に咲く花を見ると、太陽の方向に向かって斜めに枝を伸ばしている。やはり少しでも栄養や体に良いものを吸収しようという姿は人間も植物も同じだと思った。2月の後半から咲き始める花だが、4~6月にはもう色々な花だらけになりどれが一番とかのランキングをつけるのも難しい状況になる。そして植物だけでなく、動物や昆虫や魚の出現がさらに情景に味わいを添える。道には花の蜜を吸いにくる蝶やはちが群がる。川にアユが上ってくるとそれを食いにカモやサギが水辺に現れる。サラリーマン真っただ中の時にはこうした生物の動きや営みの意味を考える余裕などなかったが、ようやく自然界を思い込みなしに俯瞰できる「人間らしい」生活を送れるようになった。

年を食って季節の変化を楽しむ余裕ができた


