値下げのお願い2

 私がサラリーマン時代にお願いした大きな値下げのうちもう一つは貴金属メーカーとの交渉だった。貴金属と言っても宝石を買うわけでなく、白金を使った部材だった。この部材は製造工程の上流部で使用され、そのデザインの良し悪しで工程全体の歩留まりに大きな影響を与えるものだった。しかしこういう工程内で使われる部材はノウハウ秘匿が重要で、安易にどのメーカーからも購入するわけにはいかなかった。かつそのメーカーとは私が担当する製品以外の工程にも使用されており、半ば「独占状態」であった。彼らは交渉上手で販売量の増加に伴い数%ずつの値下げを行ってきており、なかなか新たな値下げについては言い出しにくい環境にあった。ところがこの独占状態という「ぬるま湯」に一石を投じる出来事が起こった。いつしか我々の仕事も大きくなっていたが、同業他社よりこの「白金の部材の加工」をやらせてくれないかという話が来た。同業他社とこうした話をするのは通常タブーに近いが、当時マレーシアに移っていた私はクアラルンプール空港のロビーで話を聞くことにした。会った結果彼らの製作費は驚くほど安いことがわかると同時に今まで独占状態の中で我々がいかに高い価格でこの部材を買わされていたのかも理解することができた。そしてその瞬間私は闘志が湧いてきて、聖域に近かったこの貴金属メーカーに交渉に行くことを決めた。東京駅横の一等地にある貴金属メーカーの本社ビルで先方の社長以下3名とこちらは私と工場の事務部長という格下で交渉を行った。彼らも私の剣幕にやや押されたのか最終的に数千万円/月の値下げを勝ち取った。

他社からの購入という奥の手をちらつかせ大きな値引きを勝ち取った

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