俺は聞いていない、昔の上司
入社した頃ホウレンソウが大事だと習った。ホウレンソウは報連相と書き、上司に対する部下の基本的な行動規範を表現したものと理解している。部下は上司に起こったことを報告し、進捗を連絡し、困った時には相談しなさいというものである。確かに上司というものは自分の担当する部署で起こる種々の項目について把握しておかねばならい。そして特に悪い事、問題や苦情などについては、事前に知ってその対応を考えておく、あるいは真っ先に先頭に立って対処する責任がある。よくほったらかしにして部下に丸投げにするような上司がいるが、「部署のすべての最終責任は我にあり」ぐらいに考えているような上司がいれば素晴らしい。しかしながらそれが行き過ぎてもまた問題がある。何でもかんでも上司が知らないといけないと考えるあまり、些細な問題まで上司が介入するとか、部下が自ら工夫してやろうとするチャレンジを上司が潰してしまうと、部下が育たなくなり、上司自身も全体把握ばかりか枝葉末節の把握のためにいくら時間があっても足りないということになる。そしてこういう上司がよく使う言い方に「俺は聞いていない」というのがある。ほとんどの場合、上司が全く聞いていないことは少なく、概要は知っているが詳細までは知らないという感じだろう。しかし部下を思うが故に出る上司のこの言葉は、部下の側から見ると全く自分を信用してくれていないと感じる。最近はこういう上司は少なくなった。仕事は団体プレーで、ある裁量を部下に与えないと組織は大きい仕事が達成できないからだ。ある程度部下の特性を生かして使うのが上手な上司と言えるだろう。
