カレ-事件と町内バンド

 私が40代前半の頃、和歌山カレ-事件というショッキングな事件が報道された。林何某という和歌山県の主婦が町内会で作ったカレ-に砒素を入れて、そのカレ-を食べた何人かの人が亡くなったという噂の事件だった。その話題がにぎわう最中に、私が住む町内の会長さんが、夏祭りにカレ-を作ろうという提案をした。時期が時期でもあり近隣の主婦は大反対したが、結局町内会長の「常識を逸脱した体験をする」という掛け声に押し切られ、町内会では自家製カレ-を作ることが決まり、私も役員としてカレ-作りに参加することとなった。その時の他のブロックの役員さんで私の相方がSさんだった。Sさんとカレ-をかき混ぜながら、色々なことをしゃべった。話が音楽の事になって、突然私とSさんの距離が縮まった。
 Sさんは若い頃、ジャズにはまって、京都のジャズスク-ルに通っていたそうだ。アルトサックスを吹くという。私も偶然京都で色々な音楽をやる中で、ジャズにはまり、学生時代はジャズ喫茶に日参し、アマチュアのジャズバンドではギタ-やベースを担当したことを話した。そのうちに私の向いのUさんはSさんと昔一緒に演奏をしておりドラムをたたくという事もわかった。何たる縁だろうか?その日の晩、初対面の方には失礼かと思ったが、Sさんの家へUさんと一緒にギタ-持参でお邪魔した。「なんか演りましょうか?」ということで「枯葉」を始めた。その時の驚きは今もはっきり覚えている。ソロが終わって、誰が言うともなく4バースが入る。この4バースというのは、ジャズ演奏を経験した人ならわかるお決まりごとのようなものだが、何故こんな演奏がこの時この場で達成できるのか?偶然と縁に感動した瞬間だった。

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