赤字3兄弟

 ビジネスをやる以上、赤字を出すことは成果が出ていないと言われても仕方ない。一人密かに悩んでいられるなら良いが、ほとんどの場合会議の場で赤字であることを罵倒されながら何とかがんばるのがその部門長の宿命と思っていた。そんな中で当時「だんご3兄弟」という歌が流行った。性格の違う団子の兄弟を面白おかしく表現した歌である。私のいた会社ではビジネスユニットが7つあり、そのうち4つが利益部門、3つが赤字部門だった。この3つの部門の赤字は顕在化しており、上層部の会議では「赤字3兄弟」と嫌味を言われていた。何も好き好んでこの仕事を選んだわけでもないし赤字が好きなわけでもないが、ことある毎に「赤字3兄弟」と言われるのはつらかった。ある時直属上司である取締役の研修会が休日に行われた。その時に何故か部下の部門長が出席して説明を行うよう命じられた。本来この会議は取締役が議論・説明をする場のはずなのに何故下の者が行くのかという理不尽な気持ちを感じながら出席した。そして約1時間こってり絞られてぐったりしながら部屋を出た。その時次の部門長のSさんと会った。「がんばって下さい」と一言声をかけて分かれた。車に乗って帰る際に、つくづく赤字であるのは良いことがないなあと思った。Sさんの説明が終わった頃を見計らってSさんの携帯に電話をした。「終わりました?なんか我々だけ呼び出されて休みを潰すのは腹が立ちません?飲みに行きません?」と。即話がまとまり、その日は夕方から朝の3時まで大暴れした。その後私は一睡もせず、酔っ払い状態で朝の電車で関西空港まで行きマレーシア行き飛行機に乗った。

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