毎月来いという海外子会社

 私がビジネスの部門長を担当し始めた頃は海外子会社と言えばマレーシアだけだった。このマレーシアの子会社から毎月出張するよう要請があった。彼らからすると海外では色々悩みがありそれらをどうすべきかを常にトップに聞いてもらいたいという思いがあったものと思う。勿論日常的に電話によるやり取りはしていたが、やはり電話と対面でしゃべるのとは大きな違いがあり、重要な話は対面でというのが万国共通の常識だ。電話で平行するような議論は対面でも平行になる場合が多いが、それでも現地まで行って真剣に現地の問題に耳を傾けるのが重要だと思っていた。毎月行くのが良いのかはわからないが、日本の現場なら間違いなく数日に1回、場合によっては毎日見回るようにしているので、それを考えればマレーシアに月に1回ぐらい行くのは当然だと思っていた。昔から毎日現場へ行けと言われていたが、会社の最後までこの習慣は変わらなかった。現地へ行って話を聞くのは最重要なことだったが、それと併せて重要なことは「うまいものを食わせる」ことだった。特に現地に赴任した駐在員にとって最も食べたいものは最高級の日本食であった。この最高級というのがみそで、安い日本食なら駐在員は常に食べている。しかし特別な味付けや特別な食材を使った日本料理は現地ではなかなか食べられずまた猛烈に値段がはる。そこで私の担当はこういう料理店で飯を食わせるのが仕事ということになる。実際駐在員の家族をもてなした事もあった。それでもビジネスが大幅に落ち込むと、経費節減によりローカル料理で接待せざるを得ないこともあった。値段は日本食の1/10になった。

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