自分の得意分野ではまる

 仕事の中には得意分野と苦手分野があり、得意分野の仕事をする際には自信を持って行うことができる。私の場合は長年ものづくりの仕事を担当してきていたため、現場でどのようにものづくりを行うかについてはそれなりに自信を持っていた。しかしその自信のために大はまりする経験をした。例えば自分はこの仕事をよく知っていると思っているが、違う角度から見た場合に果たしてその考えは正しいのかということが起こる。よくよく考えてみれば当たり前で、答えが一つということはめったになくて、ああも考えられるしこうも考えられるということが世の中にはある。また得意分野は日頃から慣れていて、長らく自分のやり方でそれなりの成果を得ているので、つい新たな見直しを図ったりより先端の考え方を取り入れたりする努力を怠るようになる。したがって「あの人は〇〇のプロだ」と呼ばれる人ほど古い考えしか浮かばず、時代が変わった時にそれについていけないことがおこる。私自身で言えば製造畑をずっと歩いてきて、自分は工場のものづくりでは皆より多くの経験も持っているし、その経験に基づいて正しい判断でやってきたと考えていた。しかし新たな価値観でものを考えてみると、何故そういうやり方をしてきたのか説明がつかない場合があり、一体自分は何を拠り所にやってきたのだろうと悩むことがあった。また経験というものが災いすることもあった。日頃から経験に従っていると、自分の頭の中に「これはこうするもの」という固定概念が作られてしまう。そのために一から考えることなしに安易に判断してしまいがちになる。まさに一種の老害だったかもしれない。

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