Tab譜をもっと早く見ていれば

 ギターを演奏したことがある人は知っているかもしれないが、Tab譜というのがある。通常楽譜は5線譜におたまじゃくしが書いてあるもので、私のようにあまり楽譜を読むのが上手じゃない者にとって、5線譜は苦手なものである。ところが私が大学生ぐらいになってからTab譜というのが世に出回るようになった。これはギターで言えば、6本の弦のどの位置に指を押さえたら良いかが一目瞭然でわかるようになっていて、極めて簡単に運指(指の押さえ方)がレコード通りできるようになる。またプロのギタリストが早引きしたり、複雑なコードを押さえると、昔は自分で色々指を動かしてああでもないこうでもないとコピーするのに大苦戦したものだが、こういうTab譜ができるとそういう苦労は誰かコピーのプロがやってくれて、我々はただそのTab譜通り弾けば良いということになった。このようにTab譜の出現は急激にアマチュアギタリストの腕を上げることに貢献することになった。しかし私の学生時代はまだTab譜は出てきたばかりで、何故かTab譜を見て弾くことはあまり感心できない風潮もあったように思う。まずはレコードやカセットテープ(今となっては時代の産物になってしまったが)を擦り切れるほど聞いて弾き方を覚えないと本当にプロの弾き方に近づけないと思っていたし、さらにはTab譜なんてひょっとしたら間違ってコピーされているかもしれない、私のコピーの方が正確にコピーできているなどというひねくれた考え方すらあった。しかしもしこの頃こんな昔気質の考えを捨ててTab譜で学んでいたら今私はどのくらい上手くなっていただろうかと思う。

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