最近はどこでも聞けるジャズ

 私が若い頃は街中でジャズを聴くのは結構困難だった。その理由はジャズそのものがあまり日本で有名でなかったし、音楽を聴くための番組がラジオにもテレビにも少なかったからだと思う。したがってたまにジャズを聴きたいと思ったら、ジャズ喫茶と呼ばれる照明を暗めにして、私語を禁止した喫茶店で、たばこの煙のもうもうとした中で聴くしかなかった。そしてたまにジャズ喫茶以外でジャズが流れている店を見つけるとおしゃれな感じがしたものだった。ところがこうした状況がある時期を境にして変化してきた。例えば本来はおしゃれ感覚などあまり感じられないような焼き肉店でも、内装を若者向けにして店内でジャズを流すのが当たり前になってきた。この頃にはジャズなど昔は複雑な音楽と思われていたものが市民権を得て有線放送に乗るようになってきたからだ。それでも有線放送の使用料はそれなり高く、どの店でも普通にジャズが聴けるというほどではなかった。しかし近年はどこでもジャズが聴けるようになってきた。気がついたら私の車の中でも世界中のジャズ音楽が普通に聴けるようになっている。これはインターネットとインターネットを使ったネットワークが普及することにより、どんなジャンルの音楽でも誰もが簡単にかつ低価格で使うことが可能になったからである。高校生だった頃、「幻の名盤」を探してレコード屋を回ったのが嘘のような感じだ。今はスーパーでも料理店でも商店街でもどこでもジャズが普通に流れるようになった。4ビートを刻みながら歩けるぜえ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA