世界一になると人が寄ってくる3
世界一になると色々な人が寄ってくるという上司の言葉は現実的になっていった。これまでによもや会うことはないだろうと思っていた同業他社のトップ企業が日本へやってくるようになった。そして次は原材料メーカーがやってくるようになった。聞くと日本の工場では全く使ったことがないメーカーよりマレーシア工場にいた私に話が入った。別に情報を漏らすわけでもないので日本メンバーに確認を取りながら会うことにした。私はその材料についての専門家ではなかったので、若い日本人技術者を同席させたが話の中身が本当かどうかは別として、技術のポイントはついた話を持ちかけてきているとの話だった。これまで日本の会社は日本のベンダーだけから特殊品だけを購入し、マレーシアで生産するにしても重要な基幹材料は日本メーカーからマレーシアに送ることで技術の非開示を貫いてきた。一方我々が戦う世界企業は世界中で生産販売を行い、必要な部材や材料についてもグローバルレベルで供給できるようにサプライチェーンを築いてきていた。この材料メーカーはシンガポールから現地社長が会いにきたが、欧米にも多くの供給拠点があるとのことだった。実際この話は心を打たれるものがあった。「世界一になる」ということは「世界のどこでも作れて売れる」ことであり、その時の我々は、日本と日本の技術で丸抱えしたマレーシアの2か所で戦っていた。しかし真に世界一になる時は欧米でも生産をして、欧米で材料の調達をしないといけないのではないかと思うとうになっていた。向こうからやってきた人が「世界一の会社とはなんぞや」を教えてくれているような気がした。

地産地消を地で行くグローバル企業