サンタナはながーい音を出した
私が高校生の時に京都にサンタナがやってきた。サンタナというのは当時のロックの主流がイギリスやアメリカであった時に、いわゆるラテンロックという分野で一世を風靡した人だった。ラテンロックというのは、打楽器に普通のドラムスだけではなく、サンバのような南米音楽に使う打楽器を混ぜたり、リズムを南米音楽風にアレンジしたりするロックだった。しかしサンタナの一番すごかったのは南米の持つリズムやサウンド以上に、リーダーサンタナが弾く粘っこいエレキギターのサウンドだった。当時のロックに使われるギターサウンドというのはやたらうるさく、また歪んだ音でギャアギャア叫んでいる感じがした。しかしサンタナの音はうるさい中にも、クリアや音と歪んだ音に加え、伸びのある粘っこい音が特徴だった。例えば一つの音を弾くとすぐに音が切れてしまうが、彼の音はいつまでたっても切れず、延々と繋がり続けているような感じがした。京都会館(今のロームシアター)に見に行った時に、パンフレットにこんな表現があった。「彼の弾くギターは延々と続くセックスのようであり、感動はほとばしる精液のように粘っこいものである」という表現だった。それにしても長い長いトーンを何故彼は出し続けることができるのか当時は全くわからなかったが、最近になって何となく理解できるようになった。一つはサステイナーという音を伸ばすエフェクターの効果があったのと、もう一つはハウリングという音が反響し合って作る現象を巧みにコントロールしているのだろう。その後20年して私は彼が使っていたサンバースト色のギブソンレスポールを購入した。

長ーい音を出すカルロス・サンタナのレスポール