仕事とは考えること

 Kさんは会社の創業期を支えた大幹部の方だ。私が入社した時は専務で、その後社長、会長と歴任され、1990年代には会社のグローバル展開に貢献された。Kさんのグローバル化において最も思い入れが強かったのがマレーシア工場だったそうだ。当時の社長のNさんはどちらかというとグローバル化には反対で、Kさんとはよくぶつかったそうだ。マレーシアへの展開についても「K君、マレーシアは虎が出るよ」とあまり良い顔はされなかったようだ。しかしKさんは自分の信念を押し切って最後はマレーシア工場設立を判断された。そんなことからKさんにとってマレーシアは特別な存在で、マレーシアの経営に何か問題が発生するとすぐにマレーシアに来て状況を観察に来られていた。ちょうど私がマレーシア工場の現地責任者をやっていた2010年代の前半にもあるビジネスで操業上の問題が起こっていたが、すでに経営陣からも下りられていたにもかかわらず視察に来られることがあった。さらには越権行為ではあるが、現経営陣がいるのに問題点の改善案を該当部署のビジネス長に直接提案するなど老いてもお元気であった。そして夕食をよく一緒にさせていただいたが、昔の色々な話を聞かせてもらった。特に仕事に関する考え方は勉強になった。Kさんに言わせると、「仕事とは考えること」だそうだ。仕事の改善には無限手あるが、自分が考えて考え抜いた結果を選べばそれが一番正しいという信念を持っておられた。人から何か言われるとついそちらに行き、また違う人から違うことを言われると別の方向へ行くような優柔不断ではなく、自分の考え抜いた道を進みなさいと言われた。

仕事とは考えることなり。

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