青春時代のファッション2、黒い服
私の青春時代に印象的だった服の2番目はいわゆる「黒い服」だった。要は上から下までほぼ黒一色で統一されたファッションだった。黒一色というのは特に背が高く細身のスタイルの私のような体型の人にはすごく似合った(と思い込んでいた)長髪+黒のジャケット+黒のセーター+黒のベルボトムジーンズは当時の一種の流行りでもあった。高校生のある時期からこの格好でライブハウスに行くと、大人に見られ煙草をふかしていても高校生には見られないような気がしていた。また黒一色ファッションはジャズ喫茶やブルースのような暗いイメージのする音楽とも良くマッチするような気がした。本当は何もわからないのにわかったふりをしてジャズを聴く若者の多くが黒色の服を愛用していた。また当時ブルースブラザーズという映画が流行ったが、名前の通りブルースを中心に大暴れするミュージシャンを扱った映画だ。この映画の中で主人公となるブルース兄弟の服装は、黒い帽子に黒いサングラスをかけ、黒いジャケットと黒いズボンに黒いネクタイという服装でステージに立っていた。このあたりからも黒は何か特別な雰囲気を作る服の色だと感じていた。また反戦歌や世間に対してすねた印象を与える役柄を演じる俳優や歌手が全面黒の服装をしていた。まだ映画界に出たばかりの女優桃井かおりは当時黒のロングドレスに身を包み、ものうげな口調で語りかけながら煙草を吸っていたのが印象的だった。またアングラ劇団や反戦歌などで当時有名だった浅川マキという歌手も、全面黒い服を着て世間に対して何か逆らうよう歌を歌っていたのを思い出す。

アングラの女王、浅川マキ