来日した中国メーカーのトップと会う

 他社情報を知る上で最も有効な方法は他社のトップと会って相手の度量や気骨を知ることだと思う。初めは弱小であった私の仕事は数十年して、実力と運のおかげである商品において世界トップクラスの評価を得るようになった。それに伴い同業他社の攻勢に負けないように日本以外にも製造や販売拠点を広げることになった。そうした頃中国メーカートップとの面談の話が来た。中国は2000年までは工業のレベルは取るに足らないレベルの国だった。ところが国策で「世界の工場」のキャッチフレーズを掲げ、次々と種々の産業を中国本土に誘致するうちに、先進国で培われた技術を吸収して自前で会社を興すようになった。そしてその後は言わずとも知れたように欧米や日本を抜いて工業大国に成長していった。私がビジネスユニットのトップをやっていた頃、知り合いのコンサルタントを通じて中国No.2とNo.3のメーカーのトップとの面談の話が別々に来た。もうすでに世の中はコンプライアンスの時代で、このようにビジネスの代表者が会う場合には、弁護士等の有識者を同席させ、いわゆる競争法にひっかかる内容かどうかを判断しながら面談していく事になっていた。しかし私は敢えてそういう場では思う話はできないと考え、誰とも相談せずにコンサルタントと二人で面談した。相手もそのあたりは心得ていて通訳と日本の商社の3人でやってきた。なお面談前に私は「どんな借りも中国人にしたくない」と考え、すべての支払いは2回とも私が身銭で行った。ともに年齢は私と近くなごやかに話ができた。その時代にふさわしい提案がいくつか出されたが結局進展はなかった。

アンダーグランドでの中国企業との面談

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