社内食堂はオアシス
国内工場、マレーシア工場そしてオランダ工場と工場内には社員用食堂があった。社内食堂で食事するのは全員が同じ会社の人であり、少々社外秘のような話をしていても回りに気を遣う必要もない。そういう意味で社内食堂は満腹感と一時の心の平和を取り戻すオアシスのようなものだった。国内工場の食堂は会社補助が半分入っており、かなり割安な価格で結構豪勢でバランスの取れた食事が食えた。また工場で働く協力会社の人や工場の建設工事に来ている工事業者の人にも一定の補助があり、一部の外部の人にとっても使いやすい食堂となっていた。マレーシア工場ではマレーシア人、中国人そしてインド人が共存しているが、豚肉の食えないマレーシア人と牛肉が食えないインド人のおかげで、主としたおかずはチキンか魚であった。また南国独特のスパイスの効いた辛い風味に慣れるのに数ヶ月かかった。工場を開設した当初から数年は味付けや臭いに日本人が馴染まなかったが、最近はそれも改良され、随分良い味の料理が出されるようになってきている。オランダ工場も古い工場で昔から社内工場があった。種類は日本やマレーシアほど多くないが、主としてサンドウィッチと、地元名産のコロッケやニシンのフライと、そしてスープ類が選べるようになっている。そして日本では大体職場毎に、マレーシアでは人種毎に、そしてオランダではホワイトカラーとブルーカラーに分かれて集まって食事を取るという感じだった。アメリカやイギリス工場は食堂がなく、コンビニやスーパーで売っている冷たい食材を食っていたが、やはり「皆で同じ釜の飯を食う」のが精神的に良いと思う。

会社で「同じ釜の飯を食う」のは気持ち良かった