オランダ工場閉鎖!

 私が元いた会社のオランダ工場が閉鎖になるという発表がされた。見た瞬間に感じたのは「やっぱりか」というのと「もう少し何かできなかったのか?」の2つだった。オランダ工場は私にとって思い入れの多い工場だった。欧州にはオランダとイギリスの2つの拠点があったが、オランダは一応欧州部門の本社も兼ねており、私はオランダを中心にイギリス工場と欧州の客先をカバーするという任務を受けた。オランダは国中が海抜以下になっている土地が多く、オランダ工場も水中にセメントのベースを組み込み、その上に製造設備を設置する構造になっていた。したがって他の国のように一から土地を掘り返して新しい建物や設備を新設するのが大変難しい構造となっていた。そのためオランダ工場の元凶とされる人件費の高さをどのように改善するかが究極の課題となっていた。そうした中で私は「現有の設備の数を減らして同じ生産量を確保する」ということを方針に挙げ皆の背中を押していた。工場の人というのは一般に保守的な考えがあり、私の指示を半分懐疑的に見ていたと思う。その証拠に改善は私の言うレベルには遅々として進まなかった。実は私には日本で同じような経験をしており勝算はあった。それで最後は自分が鬼になって皆から恨まれてもやり遂げようと思っていた。ところが同時期私は米国へ行くよう指示を受け欧州を去ることになった。勿論同僚には作戦を共有して欧州を出たが、現地メンバーの反対を押し切ってやるだけの意欲がなかったのだろう。何の手も打たずにオランダ工場は「座して」死ぬことになった。どうせ死ぬなら何かやっておくべきだった。

今は無きオランダ工場の全景。閉鎖前に何かやりたかったが・・

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