米国大統領選挙
ここ5年間近く米国の大統領選挙は随分米国のイメージを変えてしまうものになっているような気がする。それまでの米国の大統領というのは前任者の考え方をフレッシュな考え方で否定しながら「新しい米国」というものを見せてくれるような指導者だったように思う。ただいかに新たな考え方を新しい指導者が見せてくれたとしても、それまでから米国の指導者に共通した考え方は、「米国は常に世界の中心にいて、世界で起こる問題は米国が諫めていく」というものだった。例えば「米国は世界の警察」という言い方は米国の一つの方向性をうまく説明した言い方だった。直接敵対しているソ連や共産主義国との冷戦は勿論の事、宗教がらみのイスラム国との戦争などあらゆる世界で起こる争いに米国は絡んできた。しかし最近の米国の大統領にはトランプ大統領のように「米国のため第一主義」を説く大統領が現れるようになり、「米国が世界のために働くなら、それにふさわしい対価をもらってやっていくべきだ」という商売のような考え方(彼の言い方ではディール)を前面に押し出すようになってきている。メキシコや中南米の中小の国からアメリカンドリームを求めてやって来る違法の移民たちにもチャンスを与えていた米国もついに許容量が一杯になり、ついにはメキシコとの国境に高い強固な壁を建設するという以前の米国からは想像もできない事態が起こっている。またこうした事態の中で戦っているのが年齢80才近い老人同士というのも不思議な巡り合わせだ。「世界の融和の主導者」と一方では「自国の利益追求」を求めて米国は新たな考えに向かって揺れ動いている。

2024年米国選挙。バイデンが下りて「アラ80才選挙」はなくなったが。