弱いオランダのマネージメント

 オランダの強い労働組合の圧力にさすがのベテラン工場長もなかなか思った事が言えない状況にあったが、私たち日本人がオランダ工場に入ってマネージメントの弱腰の最たるものを発見してしまった。それは労働時間順守というものだった。当たり前のことだが、労働者は会社が規定した労働時間通りに働かないといけない。ところがオランダ工場の交替勤務従事者は勤務30分前から徐々に仕事をしなくなり、勤務交替時間になると次の勤務者が来なくてもさっさと帰宅してしまうことがわかった。これは由々しき問題であり、深い闇がこの工場にはあると考え、まず工場長にこの話を確認した。工場長は口を濁しながら「確かにそういう事実もあるがある程度は是正されている」旨を説明した。しかしその後数日現場を視察する中で、これは長期にわたり半ば確信犯的で恒常的に行われている違反である事が明確になった。そこで工場長主催の改善プロジェクトと組み合わせてこの「労働時間減少問題」を取り上げさせるようにした。要は勤務交替時前に何人が「さぼっているか」のデーターを取らせて、その改善推移がわかるようにしようとした。このプロジェクトのリーダーを工場長にお願いしたが、彼は消極的で部下の課長を推薦してきた。かくして「オランダ工場の闇を暴く」プロジェクトがスタートした。最初の何回かの報告はこちらの意図を理解しないような報告が多く修正を加えていたが、何回かの報告で明らかに改善が進んでいないので、マネージメント層のやる気を問うた所、工場長より「これはオランダ人の気質の面もあって・・・」というような弱気な発言が出た。仕方なく弱いマネージメント層と強い組合をどうするのかを日本のトップへ上げることにした。

勤務時間遵守もさせられない弱腰のオランダマネージメント

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